睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の低呼吸・無呼吸と、
それに起因する症状をまとめて症候群と称した病気です。
本人は眠っていますので、同居者がいないとなかなか気づくことの無い病気ですが、
潜在的な患者がかなりいると言われています。
昼間の眠気、熟睡感の欠如だけでなく、
高血圧といった生活習慣病の悪化因子にもなる恐ろしい病気です。
居眠りによる事故や生産効率の低下、生活習慣病の悪化による病欠者の発生による
社会的損失は非常に大きいとみられます。
今回はそんな恐ろしい無呼吸症候群の検査方法についてご紹介します。
1.睡眠時無呼吸症候群を疑った時の受診科
睡眠時無呼吸症候群の検査ができる医療機関は全国にあります。
睡眠外来といった、専門外来を設けている病院もありますし、
専門外来のない病院やクリニックでも呼吸器内科や耳鼻咽喉科で検査を受けることができます。
中には循環器内科、精神科の外来でも検査の対応をしているところもあります。
睡眠時無呼吸症候群の検査には医療保険が適応されますので、気軽に検査を受けられることをオススメします。
2.まずは問診です
睡眠時の無呼吸を主訴に病院にかかると、まず、睡眠の状態についての問診が行われます。
大きないびきをかくか、同居人に無呼吸を指摘されたことがあるか、
昼間の眠気、熟眠感の有無、起床時の疲労感、最近の体重変動、
メタボリック症候群の有無の記載欄がある場合や、Epworthsleepinessscale(ESS)というどのような場面で
どの程度眠気を生じるかという問診がされる場合があります。
ESSについては、24点満点で、11点を超えると眠気指数が強く、睡眠時無呼吸症候群を疑うべきとされています。
ESSはインターネットでもセルフチェックできますので、気になる方はスコアを付けてみてください。
3.問診で疑いありで簡易検査にすすみます
睡眠時のいびき、無呼吸があり、昼間の眠気や熟眠感の欠如、ESSスコアが高いなどの自覚症状がある、
または、肥満傾向がある、生活習慣病の持病があるなどの睡眠時無呼吸症候群を引き起こしやすい体型、
睡眠時無呼吸症候群の発症により悪化する他の病気がある方は、簡易検査に進みます。
簡易検査とは、自宅に検査機器を持ち帰り、一晩の睡眠の状態を確認する検査です。
この検査機器にはいくつかのセンサーがついています。
基本的な機械には、鼻の穴にあてて気流と気流により生じる音を測定するセンサー、
指先につけて血液中の酸素濃度を測定するセンサーがついています。
さらに、呼吸運動、体動、心電図の情報を記録できる機能が搭載されているものもあります。
この検査で無呼吸低呼吸指数ApneaHypopneaIndex(AHI)という睡眠時間1時間当たりに無呼吸、
息が止まりそうになる低呼吸の状態に何回なったかのカウントを行います。
睡眠時間が個人差、日による差があるので、1時間あたりで平均化して評価する訳です。
AHIが4以下が正常です。
AHIが5以上、40未満の場合は、睡眠時無呼吸症候群の診断で、次に書く精密検査にすすみ、治療方針を決定します。
AHIが40以上の場合は、この検査だけで重度の睡眠時無呼吸症候群と確定診断され、
CPAPという空気圧で睡眠時無呼吸症候群を改善する検査機器を保険診療として利用することができます。
4.精密検査終夜睡眠ポリグラフ(PSG)
簡易検査で睡眠時無呼吸症候群の疑いがある患者さんには、1泊入院での睡眠精密検査をすすめられます。
この検査は、終夜睡眠ポリグラフPorySomunoGraphy(PSG)と呼ばれます。
1泊2日の検査入院となりますが、睡眠中のデータをとるので、
入院時間は夕方でOK、退院時間も起床後すぐの早い時間でOKの対応をしている病院もあります。
この場合、2日休みを取らなくても、入院日にお仕事を早退し、
翌朝退院した足で出社ということも可能ですから、働く方にはうれしいですね。
この検査は、病室もしくはベッドのある検査室で技師さんによって、さまざまな検査装置が体中につけられます。
検査項目としては、口と鼻の気流、血中酸素飽和度、胸部・腹部の換気運動、
筋電図、眼電図、脳波、心電図、いびきの音、睡眠時の姿勢があります。
検査データが膨大なので、検査結果が揃うまで1週間ほど要します。
外来受診して検査結果を聞くことになります。
AHI5以上、20未満の場合は肥満患者の場合は減量指示、仰臥位(仰向け)でいびきや無呼吸が出て、
側臥位(横向き)で出にくくなる方は眠り方の指導などの生活指導による改善を図ります。
また、鼻づまりによる鼻腔低喚起がある方は耳鼻科での鼻の治療、骨格的にあごが小さく、
舌根がのどに落ち込みやすい方は、歯科で下顎を前に引き出すようなマウスピース作成などで対応します。
AHI20以上の場合は保険診療でのCPAP治療が受けられます。
5.まとめ
睡眠時無呼吸症候群を疑った時の診療科、検査の流れについてご紹介しました。
お仕事の効率がどうにもあがらない、生活習慣病の治療がうまくいかないのは、
もしかしたら、睡眠中の無呼吸が悪さしているかもしれません。
少しでも気になったらぜひ専門医の検査を受けて、適切な治療を受けて頂きたいと思います。