睡眠障害のチェック方法6個

睡眠障害最終更新日:2016年10月30日

睡眠障害というと「よく眠れない」「寝付けない」といったイメージを持ちますが、それだけではありません。

睡眠障害には様々な種類があります。

今回はその種類とチェックするポイントを紹介します。

1.不眠障害

一般的に言われる睡眠障害の多くはこの不眠障害に分類されます。

不眠障害は4つのタイプがあります。

寝付きが悪くなる入眠障害、睡眠中に何度も目が覚める中途覚醒、

朝早くに目が覚める早朝覚醒、熟眠感が得られない熟眠障害の4つです。

不眠障害のチェックポイントは以下のものがあります。

①4つの睡眠の障害が1つまたはそれ以上ある

②その睡眠の障害によって、日中に倦怠感が出る、意欲や集中力が低下する、

食欲が低下する、精神的に苦痛が生じるなど、生活に支障が出ている

③睡眠の障害が1週間に3回以上ある

④その状態が3カ月以上持続している⑤睡眠の適切な機会があるにも関わらず起こる

4つのタイプが複数組み合わさって同時に起こることもあります。

不眠障害と一言で言っても人によって様々な症状があります。

2.睡眠関連呼吸障害

睡眠関連呼吸障害は、眠っている間の呼吸状態に関連する睡眠障害です。

代表的なものが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。

睡眠時無呼吸症候群の症状は以下のものがあります。

①無呼吸発作・眠っている途中に数秒間寝息が止まり、その後に突然大きな音でいびきをかくという呼吸をします。

この発作を一晩の間に何十回、何百回と繰り返すことが特徴です。

②日中の過度の眠気・夜中に無呼吸発作が起こっていることで睡眠の質が低下します。

その結果、日中に過度な眠気が出現します。

睡眠時無呼吸症候群は自分で気付くことが難しい病気です。

しかし、無呼吸発作が生じることで脳が起きた状態を持続させるため、自律神経の乱れや内分泌系に影響を及ぼします。

また心臓に大きな負担になります。

高血圧、糖尿病、虚血性心疾患などは睡眠時無呼吸症候群を併発しやすいと言われているので注意が必要です。

3.過眠症

不眠症とは異なり、日中に強い眠気が生じるのが過眠症です。

過眠症には3つのタイプがあります。

①ナルコプレシー・日中突然眠気が生じて眠り込んでしまいます。

眠る時間は10~20分と短いことが多いです。

起きた後はすっきりしていますが、この短時間の眠りを一日に何回も繰り返します。

夜間の眠りが浅く、中途覚醒が生じることが多いです。

・笑う、驚く、怒るといった感情の高ぶりによって体の力が抜ける情動脱力発作が起こります。

意識ははっきりとしているのですが、筋肉に力が入らず声が出せなくなります。

数秒~数分で治まることが多いです。

②特発性過眠症・日中に眠り込んでしまう時間が1~4時間と長く、起きた後もすっきりせず眠気が残ります。

・目覚めた時に自分がどこにいるのか、どういう状態なのか分からないといった経験をすることもあります。

③反復性過眠症・一日の睡眠時間が16~18時間と長くなってしまいます。

食事やトイレの時には起きることができますが、それ以外の時間はほとんど眠り続けます。

(傾眠期)・傾眠期が3~10日間続いた後、一般的な睡眠時間に戻ります。

(間欠期)この時期は過眠症状が全く現れなくなります。

ナルコプレシーは情動脱力発作が最も特徴的な症状です。

反復性過眠症は間欠期に症状が現れないのが大きな特徴になります。

しかし、調べてみると睡眠時無呼吸症候群が関与していたという場合もありますので、専門的な検査が必要です。

4.概日リズム睡眠障害

人間の活動には体内時計による概日リズムが大きく関わります。

体内時計は約24時間周期であり、この周期が乱れることで睡眠に影響が出る状態を概日リズム睡眠障害と言います。

この睡眠障害には6つのタイプがあります。

①睡眠相後退症候群・徹夜や夜更かしが重なることで、夜遅くにならないと眠気が来ない状態です。

それによって朝起きることが困難となり、学校や仕事に遅刻するなどの影響が出ます。

睡眠時間は通常と変わりません。

②睡眠相前進症候群・眠りにつく時間が極端に早くなることで、朝早くに目が覚めてしまう状態です。

夕方に強い眠気を感じてそのまま寝てしまい、夜中に目が覚めてしまうということもあります。

睡眠時間は通常と変わりません。

③不規則睡眠覚醒パターン・起きている時間と眠っている時間が不規則になる状態です。

通常よりも短い時間の睡眠を一日に何回も取ることが、1週間以上続く場合はこのパターンの障害が起きている可能性があります。

・合計した睡眠時間が足りていても、疲労が回復されないために集中力や意欲の低下が起こります。

④非24時間睡眠覚醒症候群・睡眠時間自体は毎日ほとんど変わりませんが、寝付く時刻と起きる時刻が毎日遅れていく状態です。

遅れる量には個人差があります。

毎日1時間ずつ遅れる人もいれば、1~3時間の差がある人もいます。

・これが続くことで、完全に昼夜逆転してしまう日が何日も続きます。

そのため学校や仕事に行くことが困難になります。

⑤交替勤務睡眠障害・日勤、準夜勤、夜勤など日々の勤務時間帯に変更があることによって起こる睡眠障害です。

睡眠の質が低下し、作業能率や集中力の低下、勤務中の眠気、頭痛などが起こります。

⑥時差症候群・海外に行くことで起こる睡眠障害、いわゆる時差ぼけです。

夜に眠れなくなったり、日中に眠気や疲労感を感じます。

5.睡眠随伴症

眠っている間に発生する様々な疾患の総称です。

代表的なものとして、夢遊病、夜驚症(やきょうしょう)、レム睡眠行動障害、歯ぎしり、寝言などがあります。

この中から2つを比較して紹介します。

①夢遊病(睡眠時遊行症)・寝ている時に歩きまわるという症状が出現します。

・子供に良くみられる症状です。

眠りについてから1~2時間後に出現します。

・症状が出ているときは夢を見ていません。

声をかけたりしても目を覚まさないことが多いです。

15分くらいで自力でベッドに戻り、正常な睡眠に戻ります。

②レム睡眠行動障害・寝ている時に大声を上げたり、手足をバタバタ動かすなどの症状が出現します。

・50代の男性に多いです。

眠りについてから90分以上経ってから出現します。

・症状は夢を見ている最中に起きます。

本人は自分のした行動は忘れてしまっていますが、「怪物に襲われたから闘っていた」といった夢の内容を覚えていることが多いです。

つまり、夢の内容と体の動きが連動しているということです。

6.睡眠関連運動障害

睡眠時に足に症状が現れることで、睡眠が阻害される障害です。

2つのタイプがあります。

①むずむず足症候群・刺すような痛みやチクチクした痛み足に感じる、足が火照る、イライラする、

むずむずするなどの症状が起きることで、寝付きが悪くなります。

②周期性四肢運動障害・寝ている間に足がぴくぴくと動きます。

1時間に50回以上起こることもあります。

これが周期的に繰り返されます。

・寝付きの良し悪しには影響しませんが、睡眠中に足が動くことで脳が覚醒してしまい、深い睡眠が取れなくなります。

その結果疲労感が持続したり、日中に眠気が生じることがあります。

この2つは併発することが多いですが、詳しい関連や原因については解明されていません。

睡眠障害と言っても、その種類は多いです。

症状が似ていたり、併発して起こることもあるため、自分だけで判断するのは難しいです。

また、障害によって治療法も異なるため、気になる症状がある場合は専門医の診察を受けるのが大切です。