寝相は人によってまったく異なるものです。
眠ってから朝までじっとしている人もいれば、頭と足がさかさまになっている人もいます。
一緒に眠っている人が寝相が悪いのも大変ですが、自分が人に迷惑をかけているかもと思うと安心して眠れません。
それでは寝相で暴れる人にはどんな理由があるのでしょうか。
1.暑いまたは寒い
寝ている間に身体が動いてしまうときには、まず睡眠環境が原因であることが考えられます。
特に布団が暑い、逆に寒いという場合には、身体はなんとか温度を快適な状態に保とうとして、身体を動かすことで対応しようとします。
布団を蹴るなどという行動がその典型的な例ですが、実は睡眠中は普段の生活を行っているときよりも、体温が高くなっている状態。
そのため、就寝したときには快適に思えても、眠っている間にどんどん体温が上がってしまい、結果として寝ている間に身体が動いてしまう、寝相が悪くなるということも考えられます。
また意外な盲点となっているのがパジャマ。
パジャマの肌ざわりが気になっている場合、起きている間は気づかなくても眠ってからなんとかそのパジャマを脱ごうと身体が動いてしまうということもあります。
それ以外にも、マットレスが腰や背中の形に合わないときなどにも、身体はひんぱんに動いてなんとか快適な状態を見つけようとします。
もしあまりにも寝相が悪いというときには、寝具やマットレスなどを始めとした睡眠環境を改善してみるというのも一つの手かもしれません。
2.ストレスが溜まっている
人間は眠っているときにはレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。
その繰り返しを行うことでゆっくりと身体と脳を休めていくのですが、それを司っているのが自律神経です。
もしストレスがたまりすぎている場合、この自律神経が混乱してうまく働かなくなってしまうことがあります。
レム睡眠の時には身体から力が抜けて動けなくなっているのですが、そこからノンレム睡眠に切り替えがうまく行かないと、身体が動いてしまうということになります。
また疲労がたまりすぎている場合にも、身体は筋肉を動かして少しでも速く疲労物質を分解しようと身体を動かしてしまうということが考えられます。
3.嫌な夢を見ている
寝相が悪い人の中には、嫌な夢を見ているという人が少なくありません。
通常、夢を見ているときには、脳がレム睡眠と言われる浅い眠りに入っている状態。
このとき、通常では身体はほとんど動かない状態になっています。
嫌な夢を見ていて起きたいのに、なかなか起きられないという経験は誰にでもありますが、起きたくても起きられないのはこのレム睡眠に原因があります。
ただし、ちょうどレム睡眠からノンレム睡眠に移行しつつあるときなど、急に身体が動くこともあり、その結果、寝相が悪くなってしまったり、寝ながら暴れてしまったりということもあります。
4.睡眠障害がある
レム睡眠のときに身体が動くことはタイミングの問題であることがほとんどですが、実は病気であることも考えられます。
子供に多いのが「夢遊病」と呼ばれる症状で、これは眠っていると思い込んでいても身体が勝手に動いてしまう「睡眠時随伴症」と呼ばれる病気の一種。
他にも、眠っているのに叫んでしまう、泣いてしまうという「夜驚症」という症状が現れることもあります。
ただし、子供の場合にはほとんどが成長すると収まりますが、大人になっても同様の症状が現れる「レム睡眠行動障害」という病気もあります。
これは男性に多い病気で、眠っているときに勝手に身体が動いてしまうという症状があります。
これは高齢者に多く、六十歳以上の男性のうち200人に一人程度の割合で発症するという説もあります。
神経の病気や、うつ病などの薬とも関係があるとも言われているので、気になる人は専門医の受診をオススメします。
5.身体に不調がある
睡眠障害以外でも、身体の中に不調があるときには眠っていても身体が動きやすくなります。
心臓や胃といった、直接睡眠には関係のない臓器にダメージがある場合にも、身体はその部分に出来るだけ負担のかからない姿勢を保とうとして、寝相が悪くなってしまうこともあります。
また、睡眠中に暴れる場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に気道が塞がれることが原因で呼吸が止まってしまう病気ですが、呼吸ができないのは眠っていてもやはり苦しみを感じるものなので、身体はどうしてもその状態から逃れようと暴れてしまうことが考えられます。
もし日中に強い眠気を感じるなどの場合には、睡眠時無呼吸症候群の疑いがありますので、睡眠外来などの医療機関を受診してみるのも良いでしょう。
寝相で暴れる時は注意が必要
睡眠のときはできるだけ静かにゆっくりと休みたいものです。
ほとんどの場合、寝相が悪いのは大した理由はないものですが、そこに重大な病気のサインが隠れていることもあります。
あまりにも寝相が悪いという場合には、軽く考えずに専門機関に相談してみる必要もあります。